お漏らしの原因や治療法について解説します
今回はお漏らしについてガイドラインをもとに原因や治療など詳しく解説していきます。
お漏らしの定義について
お漏らしとは医学用語でいうと夜尿症といいます。
日本では夜尿症患者は70万人程度いると推測されています。
また、日本夜尿症学会から「夜尿症診療ガイドライン」が出版されており夜尿症の定義を以下のものとしています。
- 5歳以上の小児の就寝中の間欠的尿失禁
- 1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くもの
- 昼間尿失禁や、他の下部尿路症状の合併の有無は問わない
ガイドラインに記載のあるように、実は夜尿症の定義は5歳以上からです。
ですので4歳の子がお漏らしていても夜尿症とはいいません。
夜尿症の分類ですが、昼間の尿失禁を伴わない単一症候性夜尿症と昼間にも尿失禁してしまう非単一症候性夜尿症に分けられ治療法も異なります。
- 単一症候性夜尿症:昼間の尿失禁を伴わない
- 非単一症候性夜尿症:昼間にも尿失禁してしまう
夜尿症の原因について
原因としては下記のものがあげられます。
- 夜間多尿
- 排尿筋過活動
- 覚醒閾値の上昇
- 発達の遅れ
- 遺伝的素因
心理的な問題だけでなく、器質的な異常や発達の遅れ、遺伝的な要因など原因は様々です。
検査を行い原因の特定を行います。
夜尿症の治療法について
単一性か非単一性かで治療が変わってきます。
それぞれについて解説していきます。
単一症候性夜尿症の場合
- 排便日誌をつかって夜尿について記録をとる(生活指導)
- 日中の水分摂取を増やして夕方以降の水分摂取を制限する。夜尿がなかった日に褒めてあげる。(行動療法)
- 夕食の塩分制限、夕食後の飲水量制限、寝る前の排尿をすすめる(生活指導)
ここでのポイントは、お漏らしをしなかったらしっかり褒めてあげることです。
しっかりほめてあげることでその成功体験が本人の自信になります。
本人がしたくてお漏らしをしているわけではありませんので決して叱らないことです。本人の自尊心を傷つけてしまい逆効果です。
- デスモプレシン
- アラーム療法
デスモプレシンという薬剤と、アラーム療法といってパンツにセンサーをセットして尿を感知して本人を起こしてあげる治療があります。
前述の行動療法、生活指導を行い、生活改善に2週間~1か月取り組んでも夜尿の改善がない場合には積極的治療が考慮されます。
非単一症候性夜尿症の場合
夜尿症の25%は昼間の尿失禁を伴う非単一性症候性夜尿症です。
下部尿路症状(頻尿、昼間の尿失禁、残尿感、外性器の痛みなど)を合併するためまずはこの症状に対する治療を行います。
抗コリン薬やデスモプレシンなどを併用で治療します。
下部尿路症状が消えたら単一症候性と同様の手順で治療します。
まとめ
お漏らしの治療はまずは生活指導、行動療法が中心です。
それでも治らなければ積極的治療を行います。
日中にもおしっこが漏れてしまう子の中には病気が隠れていることもあるので医者に相談しましょう。
参考:夜尿症診療ガイドライン. 日本夜尿症学会, 診断と治療社, 2016