蜂窩織炎の原因や治療について詳しく解説します
蜂窩織炎は急性に発症する皮膚軟部組織の感染症で、スポーツ選手などではよく繰り返してしまう人もいるかもしれません。
今回はそんな、蜂窩織炎の原因と治療、自然治癒することはあるのか、かかった時は何科に行くべきなのか、など皆さんがよく疑問に思う点について解説していきたいと思います。
蜂窩織炎の症状と発症頻度について
米国での報告ですが発症頻度は100万人あたり約200人程度といわれています。
症状は上記のように病変部の発赤、熱感、腫脹、疼痛が特徴で急性の経過で発症します。
蜂窩織炎で発熱するのか
結論からいうと、発熱することもありますが、しないこともあります。
軽微な所見であれば熱はなく局所の所見に留まります。
ですが、病変が広範である場合は全身の症状として熱が出ることもあります。
蜂窩織炎の原因は
人間の皮膚は細菌の侵入に対するバリアの役目を担っており、通常は皮膚に細菌が付着してもは感染は起きません。
ただ怪我などで皮膚が傷つくとそのバリアが壊れ細菌が侵入し感染を起こしてしまいます。
そのため皮膚が傷つきやすい力士や格闘家など、コンタクトスポーツの競技者で発症することが多いです。
子どもではアトピーなど皮膚の炎症がある状態だと、皮膚のバリア機能が弱くなっていてそこから菌が侵入して蜂窩織炎が起きることがあります。
体のどの部位でも発症部位となりますが、下肢が多いとされています。
原因となる菌はA群β溶血性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌が大多数を占めます。
ただ動物に噛まれたり淡水、海水から菌が侵入したり発症部位によって原因菌が違いますので病歴の聴取が重要です。
境界が明瞭な皮膚の発赤と腫脹を認める場合は丹毒との鑑別が必要です。
蜂窩織炎を予防するためには
皮膚から細菌が侵入することにより蜂窩織炎を発症します。
そのため、蜂窩織炎を予防するためには皮膚を清潔にすることと、もともと皮膚が弱い方は普段からスキンケアを行い皮膚の状態を良好にすることが大切です。
これらを意識することで蜂窩織炎の発症のリスクを下げることができるでしょう。
アトピーの方のスキンケアについては、この本を参考にしてもらうとわかりやすいと思います。
蜂窩織炎の治療について
治療はペニシリン系やセフェム系の抗菌薬の投与と、冷却などの対処療法になります。
治療期間は皮膚の所見が改善されたのを確認できるまで投与が必要で、通常は7〜10日間程度を要します。
市販の抗菌薬(抗生物質)は塗り薬のみですので治療が不十分になる可能性が高いです。
蜂窩織炎を疑った場合は大人であれば皮膚科あるいは内科を、子どもであれば小児科を受診しましょう。
蜂窩織炎は自然治癒するのか
蜂窩織炎は自然治癒しません。
局所の細菌感染を起こしているので放っておくと徐々に範囲が拡大して症状が悪化してしまいます。
血液内に細菌が侵入すると最悪の場合、死に至る危険性もありますので自己判断で様子を見ることはやめましょう。
まとめ
今回は蜂窩織炎についてまとめました。
スポーツ選手でよく見られる病気ですが一般の方にも起こり得ます。
皮膚が赤く腫れて強い痛みがあるようなら様子を見ずに病院で相談してください。
小児科臨床 vol.71 No.12 2018年