思春期が早すぎると病気なの?
皆さん自分の子どもは思春期が遅いんじゃないか、逆に早すぎるん、じゃないかと気にされる方も多いのではないのでしょうか。
そこで今回は体の変化、思春期が早く来すぎてしまう「思春期早発症(性早熟症)」について。くわしく解説していきたいと思います。
そもそも思春期って?
思春期とは、子どもが成長していく過程で、心身ともに変化する時期のことで、男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく体が変化し、著しい身長の伸びを認める時期をさしています。
つまり、性ホルモンの産生により性の早熟徴候(二次性徴といいます)が生じる状態です。
女児では乳房腫大から男児の場合は精巣の増大から始まります。
ただこの思春期の始まりが標準よりも早い人がいます。
これを思春期早発症(性早熟症)といいます。
思春期早発症とは
通常、女児は10歳頃、男児は12歳頃より思春期徴候がはっきりします。
男児で精巣容積が4ml以上、女児で乳房腫大が開始したときに思春期の開始と判断します。
それが、2〜3年程度早く始まってしまうのが、思春期早発症です。
国際的には男児は9歳、女児は8歳以前に二次性徴の徴候を認める場合を思春期早発と定義します。
国内では思春期早発症の診断の手引きが出されており(後述します)、それをもとに診断します。
思春期早発症で問題になることは?
- 早期に体が完成してしまうため、一時的に身長が伸びるが、最終的には小柄のままで身長が止まってしまう。(身長予後の問題)
- 低年齢で思春期徴候が出現するために、本人や周囲が戸惑う心理社会的問題が起きる。(心理・社会的問題)
- 思春期を進めてしまう原因になる病変が潜んでいる可能性がある。(男児では脳腫瘍、女児では機能性卵巣嚢腫など)
以上の3点です。
そのため診断基準を満たす子は検査を行い治療の適応があるかどうか、または腫瘍などの異常所見がないかを確認します。
思春期早発症の特徴的な症状
<男児の主症候>
- 9 歳未満で精巣、陰茎、陰嚢等の明らかな発育が起こる。
- 10 歳未満で陰毛発生をみる。
- 11 歳未満で腋毛、ひげの発生や声変わりをみる。
<女児の主症候>
- 7 歳 6ヶ月未満で乳房発育がおこる。
- 8 歳未満で陰毛発生、または小隠唇色素沈着等の外陰部成熟、あるいは腋毛発生がおこる。
- 10 歳 6ヶ月未満で初経をみる。
男女ともに基準がありこれらの症状がある場合は思春期早発症を疑います。
原因は?
特発性、中枢神経の異常、長期間の性ステロイド暴露、遺伝子異常などがあります。
検査
内分泌学的検査としてLH、FSHなどのホルモンの値を確認します。
必要によって負荷試験といって薬剤を投与してホルモンの反応を見ます。
また女児では6歳未満、男児では全例で頭部MRIを行い腫瘍がないか確認します。
治療
治療の目的は前述した心理社会的問題と低身長に対してです。
ただ年長児意向で発症した場合治療しても身長予後の改善は乏しいという報告もありどちらかといえば心理社会的な面を配慮して治療開始となることが多いです。
薬剤としてはGnRHアナログ製剤といってこれを4週間おきに皮下注射することによりLH、FSHの分泌を抑制して思春期の進行を抑えます。
思春期が遅い場合(思春期遅発症)
一般的に男児で14歳、女児で12歳以上になっても二次性徴がない場合思春期が遅れていると判断します。
この場合、思春期遅発症あるいは性腺機能低下症を鑑別する必要があります。
負荷試験などを行う必要がありますので病院に相談しましょう。
今回は思春期早発症についてまとめてみました。
大抵は問題のないことが多いですが今回のように治療の適応となる方もいますので迷ったら病院で相談してみましょう。
それでは。