ソトス症候群について解説します
今回はSotos(ソトス)症候群の原因や診断、治療や予後、顔つき(顔貌)の特徴についても解説します。
Sotos(ソトス)症候群とは
Sotos(ソトス)症候群は1964年にSotosらにより初めて報告された疾患です。
出生前から始まる過成長、骨年齢の促進、特異顔貌、精神発達遅滞を特徴とし脳性巨人症ともよばれます。
原因
常染色体優性遺伝で95%以上が孤発例とされています。
2002年にKurotakiらがSotos症候群の原因をNSD1遺伝子のハプロ不全であると報告し、この遺伝子異常はSotos症候群の60~90%に認められています。
遺伝子の突然変異が原因ですので子どもには遺伝はしません。
ハプロ不全とは
一対の相同染色体のうち、一方の遺伝子の不活性化で起こる表現型の変異のことをいいます。
近年、Sotos症候群と同様の表現型を有しているものの、NSD1遺伝子ではなくNFIX遺伝子異常を呈する例が報告されています。
Sotosらは前者をSotos syndrome 1、後者をSotes syndrome 2 とよんでいます。
発症頻度
発症頻度ですが、出生1万5000人~2万人に1人と報告されています。
症状
頭部や顔貌(顔つき)の変化
1歳を過ぎた頃から長頭傾向の大頭症、広く突出した前額がみられ逆洋梨型といわれたりします。
他には、前頭部毛髪線の後退、眼間開離、大きな耳介、高口蓋、先細りの下顎、早期歯牙崩出などがみられます。
写真のような顔つきが特徴です。
過成長
大きな手足や過成長がみられ、身長、体重、頭囲は成長曲線の+2SDを超えることがあります。
過成長は思春期前まで続きますが、成人期になると身長体重は正常化する傾向にあります。
二次性徴は正常にみられ成長ホルモンなどの異常もありません。
精神発達遅滞
精神発達遅滞は必発ですが、程度は個人差が大きいとされています。
画像検査では脳室拡大、脳正中構造の異常、硬膜下水腫がみられることがあります。
その他の合併症
合併症としは、てんかん(約25%)、先天性心疾患(約20%)、腎・尿路異常(約15%:水腎症、膀胱尿管逆流)、悪性腫瘍(約3%: Wilms腫瘍、神経芽腫、急性リンパ性白血病)などが報告されています。
他にも小児期に高インスリン性の低血糖を認めることがあります。
診断
これまでは臨床症状から診断が行われてきましたが、近年は前述のような遺伝子診断との組合せで診断されます。
Sotos症候群を疑う臨床症状
- 大頭症
- 過成長
- 頭が大きく長頭、大きい手足、前額・下顎の突出、高口蓋、眼瞼裂斜下、眼間開離を含む特徴的な顔貌
- 精神発達遅滞
治療
新生児期や乳児期には呼吸障害や哺乳不良などがみられますが、自然と軽快し予後は良好とされています。
過成長も成人になると正常化するので特に治療は不要です。
まとめ
今回はSotos症候群についてでした。
特徴的な症状がありますのて皆さんも参考にしてみてください。
栗原淳. Sotos症候群: 小児科診療 第79巻-増刊号
Débora Gusmão Melo et al. SOTOS SYNDROME (CEREBRAL GIGANTISM): Neuro-Psiquiatr. vol.60 no.2A São Paulo June 2002