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子どもの低身長の原因と身長を伸ばす方法を小児科医が解説|サプリの効果についても

子どもの低身長の原因と身長を伸ばす方法を小児科医が解説|サプリの効果についても

低身長の中には薬で治療できるものがあったり、病気が潜んでいたりします。

また。巷では身長を伸ばすといわれているサプリなど色々なものがありますが、本当に効果があるのでしょうか。

今回は低身長の受診のタイミングや、身長を伸ばす方法、サプリの効果についても解説していきます。

そもそも低身長とはなんなのか

低身長の定義とは標準身長と比較して-2SD以下、あるいは3パーセントタイル以下です。

SDやパーセンタイルとは成長曲線に身長を当てはめてみた時の目安となる指標です。

−2SD以下の低身長は一般小児の2〜3%に相当しますが、実際にこの中で治療対象となるのは5%以下とされています。

成長曲線については日本小児内分泌学会のホームページを参照してみてください。

子どもの身長の予測方法

お父さん、お母さんの身長から子どもの最終身長を予測することができます。

予測身長(Target height)といい、下の式で表します。

男児の予測身長=(父の身長+母の身長+13)÷2 (cm)

女児の予測身長=(父の身長+母の身長-13)÷2 (cm)

低身長になってしまう原因とは

原因はいくつかありますが、代表的なものとして、成長ホルモンの分泌が不十分である成長ホルモン分泌不全性低身長です。

そのほかには低栄養、なんらかの症候群(ターナー症候群、ヌーナン症候群など)、骨の病気、遺伝子異常、腎不全などがあります。

いつ病院を受診すればよいか

多くの方は健診で低身長を指摘され受診されます。

それ以外では、3歳以降で身長が-2.0SD以下の場合は成長ホルモンが足りていない可能性があるので病院を受診しましょう。

また身長が−2SDの基準を満たさなくても、身長伸びが悪くなる(成長障害)場合も相談してみるべきでしょう。

治療をする基準は

治療の適応となる身長は、成長ホルモン分泌不全性低身長の場合は-2.5SD以下です(小児慢性特定疾病の基準です)。

それに加えて2種類の負荷試験で基準を満たす必要があります。

そのため、実際には-2.0SD程度の低身長では検査や治療をせずに経過をみていくだけのこともあります。

サプリを使えば身長が伸びるのか?

身長を伸ばすと謳ったサプリなどの商品が巷にはありますが、実際のところ効果はどうなんでしょうか?

これについては小児内分泌学会からの見解が出ております。

カルシウム、鉄、ビタミンDを含んだサプリメント

ビタミンD欠乏性くる病では、成長障害がおこり、ビタミンDの補充により成長は正常に回復するがこれらの栄養要素の不足がない場合には、投与しても成長促進するという科学的なデータはない。特にカルシウム製剤は、骨を強くする作用はあるが、成長促進作用はなし。

成長ホルモンの分泌を促進するといわれている物質を含むサプリメント

代表的なものは「アルギニン」。多くの場合に200mg~2gの錠剤で、その全部が吸収されて血中に移行したとしても成長ホルモン分泌刺激試験に使用される量の10分の1ぐらいであり、全部がそのまま吸収されないことや代謝などを考えると、血中のアルギニン濃度はごくわずかな上昇のみ。そのためサプリメントの服用で成長ホルモンの分泌が促進はされない。

成長ホルモンを含むスプレー

成長ホルモンを含むスプレーでは、鼻や口の中に噴霧すると成長ホルモンが体の中に吸収されると説明されているが分子量が約2万2000というやや大きな蛋白のため、鼻や口の粘膜からはほとんど吸収されない。たとえ少し血液中に吸収されたとしても、成長ホルモンを注射したときと同じぐらいの血中濃度にするには、注射する量に比べてよほど大量の成長ホルモンを投与することが必要になるので、コストの面でも全く見合わない。

結局のところ身長に対する市販のサプリメントや薬剤などでは著明な効果は期待できないみたいです。

残念ながら市販のサプリメントや薬剤は身長促進の効果はありません。

身長を伸ばす方法は?

不規則な生活習慣は身長に悪影響とされています。

栄養が悪ければ体重も増えずその分身長も伸びません。

睡眠については22時~2時に眠ればよいと思っている方もいるかもしれませんが、成長ホルモンは深い睡眠中に分泌されますので、良質な睡眠が大事です。

適切な運動があれば食欲も湧きますし、寝つきもよくなって良質な生活習慣につながります。

結局のところ、身長を伸ばすには規則正しい生活、十分な睡眠、運動、バランスの良い食事が大事で近道はありません

身長を伸ばすには十分な睡眠と運動、バランスの良い食事が大事です。

まとめ

子どもの身長は気になる方はまず成長曲線をつけてみましょう。

身長が-2SDを下回っていたり、身長の伸びが極端に遅くなっているようなら病院を受診してください。

そして一度、子どもの生活習慣を見直してみて改善できる点がないか確認してみましょう。

参考
  • 日本小児科内分泌学会ホームページ http://jspe.umin.jp
  • 小児内分泌学改定第2版. 日本小児内分泌学会, 2016
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