病気

子どもがおもちゃを飲み込んでしまった時の対処法と注意するべきポイントを解説します

子どもがおもちゃを飲み込んでしまった時の対処法と注意するべきポイントを解説します

子どもが大きくなってどんどん動くようになると色んなものに興味を持ちます。

今回は子どもが誤っておもちゃを飲み込んでしまった時はどうすればよいのか、対処法を解説します。

誤飲とは

「誤飲」とは「異物」を口に入れることで体に障害が発生する可能性のある状態をいいます。

ここでの異物とは様々な種類がありますが、異物が気道内に停留する状態を「気道異物」

消化管内に停留する状態を「消化管異物」といいます。

子どもが飲み込むことのできるものの大きさは

乳幼児の口の大きさは直径約4cmくらいです。これより小さいものであれば全て誤飲してしまう可能性があります。

トイレットペーパーの芯の直径が約4cmですので、芯よりも小さいものは子どもの手の届かないところに置くようにしましょう。

誤飲したときにおきる症状について

消化管異物の場合

実は胃を過ぎて消化管内にまで進んでしまえば大抵のものは自然に排泄されるので問題ありません。

そのため治療は何もせずうんちとして排出されるのを待つのみです。

1~2週間程度で自然に排泄されます。

ただ、食道内に異物が留まってしまう「食道異物」は異物の種類、停留時間によって重大な合併症を招く可能性があります。

食道異物では半数では無症状とされていますが、胸痛、摂食障害、嚥下時痛、流涎(よだれがだらだら)などの症状がみられることがあります。

危険性が高い誤飲の特徴について

危険性が高い兆候は下の5つです。

危険性が高い兆候
  • 鋭利、5㎝以上の長さ、大きい
  • ボタン電池、リチウム電池
  • 気道、食道狭窄
  • 発熱、腹痛、嘔吐などの症状
  • 食道内の異物で24時間以上経過

これらの徴候があれば積極的に内視鏡やカテーテルなどを使って異物を摘出します。

気道異物の場合

食事中の突然のせき込みや呼吸困難が典型的な症状です。

また肺で左右差のある喘鳴(ぜーぜー、ヒューヒューする呼吸音)も異物を疑う所見です。

原因の大半はピーナッツなどの豆類です。

ピーナッツの場合は水分を吸収して膨らんでしまうことで気管支を閉塞します。

また油脂を含んでおり肺炎を引き起こしてしまうリスクがあります。

そのため、治療は緊急で全身麻酔下で気管支鏡を用いて摘出を行う必要があります。

子どもが誤飲してしまったときの対応について

背部叩打法

引用: 政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html

片手で体を支えて、手のひらで顎を支えながらもう一方の手のひらのつけ根で乳児の背中を叩きます。

胸部突き上げ法

引用: 政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html

乳児をあお向けにして、片手で体を支えながら手のひらで後頭部を押さえ胸部を圧迫します。

腹部突き上げ法(ハイムリック法)

引用: 政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html

1歳以上の場合が対象になります。

背後から両腕を回して片方の手を握りこぶしにし、子供のみぞおちの下に当てます。

もう片方の手をその上に当てて、両手で腹部を上に圧迫しこれを繰り返します。

また、背部叩打法と胸部突き上げ法を行うときは5〜6回を1セットとして交互に繰り返してください。

向きを変えることにより異物が移動することにより排出されやすくなります。

誤飲してしまったのきの検査について

検査は基本、レントゲン撮影ですが、レントゲンで見えにくいものもあるので、必ず誤飲したものと同じものを持参するようにしてください

一緒に撮影することにより異物を発見しやすくなります。

またレントゲンで写らないもの(プラスチックなど)の場合でも異物が詰まったことで生じる間接的な所見や、ほかの異物を飲み込んでいる可能性もあるので必ず確認します。

まとめ

日本では乳幼児の誤飲事故が多く、なんと毎年約10万人が医療機関を受診しているとの推計があります。

事故が起きないようにするのは親の義務です。

普段から誤飲には十分に気を付けましょうね。

出典:
・遠藤文夫(2017)『最新ガイドライン準拠小児科診断・治療指針 改定第2版』中山書店
・五十嵐隆ら(2014)『当直医のための小児救急ポケットマニュアル』中山書店

・政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html

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