子どもに生まれつきあるアザは病気?自然に治る?原因や分類、治療について解説します
子どもにあるアザですが様々な原因があります。
今回はその中でも特に多い母斑と血管腫について解説します。
原因や分類と治療について自然に治るのか?それともレーザーや手術などが必要なのか?などの疑問に答えていきます。
あざはなぜできるのか?色の違いはなぜ?
皮膚は上から表皮、真皮、皮下脂肪織の3層からできています。
表皮にはメラニン色素という黒い色素を産生するメラノサイトという細胞があり、このメラノサイトが作るメラニンが多いと皮膚の色が黒くなります。
なんらかの原因で真皮にメラノサイトが存在すると、メラノサイトが作るメラニンのため、皮膚は青く見えます。
黒、茶、青アザはメラニンが部分的に増加しているもので、一般にメラニンが皮膚の深い部位に存在すれば皮膚は青く見え、皮膚の浅いところに存在すると茶色く、またメラニンの量が多いと色が濃く見えます。
一方真皮や皮下脂肪織には血管がありその中には赤血球が流れており、赤血球に存在するヘモグロビンのために、血液は赤く見えます。
赤アザ、つまり血管腫は、皮膚に存在する血管が増えているため赤く見えるのです。
参考:日本皮膚科学会ホームページ https://www.dermatol.or.jp/
母斑
色素性母斑
母斑細胞というメラニンを作る細胞からなる良性腫瘍を色素性母斑(ほくろ)といいます。
色素性母斑は黒子、通常型、巨大型にわけられ巨大型を黒アザと呼んでいます。
自然消退はしませんのでレーザーまたは手術が必要になります。
・扁平母斑(カフェオレ斑)
境界が明瞭な薄茶色のアザです。
レーザー治療を行うことがありますが効果は限定的で治療に反応がない方も多いとされています。
小さいものが数個あるのは問題ありませんが、1.5㎝以上の母斑(カフェオレ班)が6個以上あればレックリングハウゼン病を疑い、その場合は精査が必要です。
・脂腺母斑
生まれた時から存在し顔面や頭部に生ずることが多く、蒼白調または黄色調で凹凸があります。
腫瘍化のリスクがあるため外科的切除(手術)が必要です。
・太田母斑
額、目の周囲、頬、鼻、耳介に生ずる青アザで、通常、顔の片側に生じます。
自然消退しませんのでレーザー治療の適応です。
・蒙古斑
真皮には通常メラノサイトが存在しませんが、日本人などの黄色人種の大部分の赤ちゃんでは、お尻の真皮にメラノサイトがみられます。
ですので、日本人の赤ちゃんではお尻から背中にかけて青アザがあり、これを蒙古斑といいます。
2歳ころまで色は濃くなりますが徐々に薄くなり、4歳頃までに自然に消えていきます。
・異所性蒙古斑
お尻以外にある蒙古斑を異所性蒙古斑と言います。
10歳までにはある程度薄くなりますが、おしりにある蒙古斑と比較し、色が濃い症例は消えずらいのでそのころまでに所見が残っているようならレーザー治療を検討してもよいかもしれません。
血管腫
・単純性血管腫
別名ポートワイン母斑とも呼ばれる平らな赤アザで、自然消退しないのでレーザー治療の適応があります。
正中部母斑(サモンパッチ、ウンナ母斑)
新生児期から乳児初期にかけて生じる眉間、額の真ん中、上まぶたの内側、人中などにみられる母斑(サモンパッチ)、うなじなどにみられる境界が不鮮明で色調にむらのある隆起しない紅斑(ウンナ母斑)を総称して正中部母斑といいます。
正中部母斑は生後1年半以内に大部分は自然消退しますが、ウンナ母斑の半数は消失しません。
正中部母斑がある場合は生後1年半程度様子をみて、消退しないものに対してはレーザー治療を検討しましょう。
・苺状血管腫
モコモコとした赤アザで、イチゴの様に見えることから苺状血管腫といいます。
生後2~3週間に発生して1~2週間で急速に大きくなる血管腫で、1歳くらいまでに小さくなり始め小学1年生になるころには目立たなくなることが多いです。
瘢痕が残っても気にならない部位、大きさのものは経過観察ですが、顔などの目立つ部分や大きいものは早期のレーザー治療やヘマンジオールシロップ内服による治療を行います。
まとめ
母斑や血管腫などのアザは小児科医でも判断に迷う場合があります。
気になることがあれば皮膚科で相談してみるといいでしょう。
- 日本皮膚科学会ホームページ https://www.dermatol.or.jp/
- 佐々木りか子:よくみる子どもの皮膚疾患:診療のポイント&保護者へのアドバイス. 医学書院, 2018
- 馬場直子:こどもの皮膚診療アップデート. シービーアール, 2013