育児

4か月健診でよくある質問について小児科医が解説|体重が増えない、頭の形が変だけど大丈夫?

4か月健診でよくある質問について小児科医が解説|体重が増えない、頭の形が変だけど大丈夫?

今回は4ヶ月健診で質問の多い、”体重が増えない、”頭の形が変”など、皆さんが心配に思う項目についてわかりやすく解説していきます。

4ヶ月健診で注意すべき見逃してはいけない所見としては、体重増加、追視や音の反応、首の座り、筋緊張、股関節などがあります。

小児科医はそのようなポイントを中心に何かおかしな所見がないか気を付けて診察しています。

Q1. 体重があまり増えていません/体重が増えすぎではありませんか?

4か月ころの赤ちゃんは1日当たり20~25gずつ体重が増えていき、これまでの3か月と比べると体重の増え方はやや減少していきます。

また乳幼児のやせや、肥満についてはKaup指数を用いて評価します。

Kaup指数=体重(kg)÷{身長(cm)×身長(cm)}×10000で計算され、15~18を正常範囲とします

体重増加率低下の原因の多くは母乳不足です。

母乳のみの場合は授乳回数や授乳時間を確認し、授乳回数を増やしたり、おしゃぶりの使用を中止します。

可能であればミルクの補足を行い、1-2か月後にフォローします。

逆に体重が増えすぎている場合ですが、乳児期の肥満は生理的な肥満とされており基本的には哺乳の制限などは行わずに経過をみていきます。

Q2. 離乳食はいつから始めればいいですか

個人差はありますが生後5~6か月になったら始められることが多いです

お父さん、お母さん、兄弟が食べているものに興味を持ったり、よだれの量が増えてきたら食べる準備ができてきた証拠です。

離乳食の本を参考に始めてみましょう。

Q3. 赤いアザがあります

血管腫の可能性があります。

モコモコと隆起してイチゴのように見えるタイプはイチゴ状血管腫といい、自然消退を期待できますが大きいものや顔など目立つところにあるものは血管腫が消退した後に瘢痕として目立ってしまうことがあるので早期にレーザー治療やヘマンジオールシロップの内服などを検討します。

アザが平で触れないタイプのものは単純性血管腫といいます。

首や額、まぶたの上にあるもの(サーモンパッチ)は自然消退は期待できます。ただそのほかの部位にある場合は消えないので目立つ場合はレーザー治療などを行います。

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Q4. ミルクや母乳の量はどのくらいあげればいいですか

個人差はありますがミルク量は1回180~220mlくらい、1日5回が一応の目安とされています。

しかし実際のところは赤ちゃんによって差はありますので1回の量が少ない子はその分回数を多くしてあげたりしてあげます。

飲む量が少ないからと言って無理にあげようとするとミルク嫌いになってしまいますので強制せずにあせらないことがポイントです。

Q5. 頭の形が変です

頭蓋骨早期癒合症あるいは位置的頭蓋骨変形症の可能性があります。

大部分の赤ちゃんがあおむけ寝や向き癖など頭自体の重さのために生じる位置的頭蓋骨変形症とされています。

両方を合併していることもあり、二つの厳密な鑑別にはレントゲン、CTなどの検査が必要になることもあります。

頭蓋骨早期癒合症の場合は、何らかの症候群を合併していることもあり、特異的な顔貌などをみることもあります。

また脳圧亢進症状等を認める場合は早期の外科的治療が必要になります。

位置的頭蓋骨変形症の場合は頭囲の計測で頭蓋が成長していること、骨縫合(骨のつなぎ目)を触れることを確認します。

発育や骨縫合の癒合がなければ座位、立位が保持できる1歳の誕生日ころには目立たなくなるとされています。

基本的には自然に治ってくるとされていますが、変形の程度が強い場合はヘルメットによる矯正も検討されますので相談してみましょう。

他に出生時にみられる頭血腫の跡がこぶ状に触れることもありますが、その場合は大きなものでも生後6か月ころには消退するので心配はありません。

Q6. 股関節が固い気がします

股関節脱臼といって股関節が外れてしまう病気の可能性があります。

①開排制限(股関節の開きが悪い)、②太もものしわの左右差、③股関節脱臼の家族歴、④女の子、⑤骨盤位分娩(逆子)の所見のうち①があるか、②、③、④、⑤のうち2つ以上あれば整形外科に紹介します。

赤ちゃんの姿勢や抱っこの仕方が大事とされており、仰向けに寝ているときはM字開脚を基本に自由に動かせるようにしてあげて、抱っこの時も足がM字になるようにお母さんにしがみつくような姿勢が良いです。

向き癖があると脚が開脚されない姿勢になっていることもあるので注意が必要です。

Q7. おへそがでています。どうすればいいですか。

臍ヘルニアといって、1歳までには90%以上は自然治癒します

何もしなくても自然に軽快することも多いですが、程度が強い場合は綿球とテープを使って圧迫してあげたほうがきれいになることもあります。

2歳以上になっても治らない場合や、ヘルニア門(腸が出てきている穴の部分)が2cm以上と大きい場合は手術が必要になることもあります。

Q8. 肌が赤くなりやすいです。これってアトピーですか?

赤ちゃんの肌は大人と比べて刺激などに対して弱く、赤くなったり荒れやすいです。

そのような所見があったからといって、アトピー性皮膚炎とは言えず、まずは肌の清潔と保湿が重要です。

ただし、赤みが強い場合は小児科や皮膚科を受診しステロイド軟膏の使用を検討しましょう。

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Q9. 首がまだ座りません

4か月のはじめでは90%が、4か月の終わりころにはほぼ全員の首がすわってくるとされています。

頸がすわらない場合は1か月後に再検しきちんと首がすわっているか確認します。

明らかな筋緊張の低下があったり、5か月になっても首がすわらない場合は精査を行います。

Q10. 便があまり出ません。便秘でしょうか?

まずは排便のペースト便の性状を確認します。

柔らかい、あるいは粘調な便で、哺乳良好、腹部膨満のない場合は3~4日に1回の排便でも心配はありません。

それ以上便が出なかったりお腹が張ってきて飲みが悪くなるようであれば小児科を受診しましょう。

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Q11. うつぶせになって寝てしまいますが大丈夫ですか?

SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクがあるので寝たら仰向けまたは横向きの姿勢に直してあげましょう。

ベッドは顔が埋まって口をふさいでしまわないように固いマットレスを使用し、顔の周りを布団やタオル、ぬいぐるみで覆わないように注意しましょう。

Q12. 日焼け対策はどうすればいいですか?

成長のためにもある程度の紫外線、つまり日光浴は必要です。

しかし、日差しが強い時間帯(10-14時)に屋外で活動するときは帽子や衣服で覆い、日焼け止めはSPF15以上を使用するようにしましょう。

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まとめ

今回は4か月健診でよく聞かれるポイントを中心に解説しました。

皆さんも参考にしてみてください。

参考文献
  • 水野克巳, お母さんがもっと元気になる乳児健診: 健診を楽しくすすめるエビデンス&テクニック, メディカ出版, 2015年
  • 福岡地区小児科医会, 乳幼児健診マニュアル第5版, 医学書院, 2015年
  • 藍原康雄: 小児外科, Vol 49, p8-10, 2017年
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Dr.Koro
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