病気

【アザが増えたら要注意】特発性血小板減少性紫斑病とは

特発性血小板減少性紫斑病とは

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は免疫的機序により血小板減少をきたす疾患です。

成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド2019改訂版によると、日本では約2万5千人が罹患、年間の発症数は10万人あたり2.16人と推計されています。

6歳以下の小児、20~34歳の女性および高齢者に好発するとされており、小児科医としてはよく経験する疾患です。

発症の機序について

健康な人であれば傷ができたり、アザができても血小板により出血は止まり傷やアザは治ります。

ですがITPを発症すると、抗血小板自己抗体という血小板に対する抗体ができてしまい、血小板が脾臓で破壊され、抗体が原因で血小板の産生が阻害されてしまいます。

小児科ではよく「子どものアザが急に増えた」という主訴で受診されることが多いです。

検査について

ITPの検査はまずは血液検査を行い血小板数を確認します。血小板が単独で低下していればITPが疑われます。

逆に血小板だけでなく血液に含まれている他の血球系(白血球や赤血球)の低下が有れば、白血病などの血液系の疾患を考えなければなりません。

血小板数が正常でも、凝固系が異常値を呈するとITPと同じような(厳密には違いますが)症状が出現しますので凝固系も確認する必要があります。

経過が典型的でない場合は骨髄検査も必要になることがあります。

また、大人の場合はまずピロリ菌感染の有無を確認します。

ピロリ菌陽性例では除菌することで50~70%で血小板数の増加が得られるとされます。

小児ではピロリ菌が原因となることは稀ですので検査は通常行いません。

治療について

小児の場合はITPの診断がついたら血小板数によって経過観察か治療をするかどうか決定します。

前述したように大人の場合はピロリ菌の感染の有無を確認して、陽性なら除菌を行います。

基本的には出血症状がなくて血小板数3万/μl以上なら経過を見ることもあります。

ですが出血症状がみられる、あるいは血小板数が2万/μl以下であれば治療の適応となります。

治療は免疫グロブリン大量療法や副腎皮質ステロイド療法になります。

治癒しても再発のリスクがあるので最低半年間はフォローが必要です。

まとめ

今回は特発性血小板減少性紫斑病について解説しました。

子どものアザが急に増えた時は注意してくださいね。

小児の血液疾患を学ぶのにオススメの書籍は?

色々ありますが、下の本が詳しいし、かつ分かりやすいということでオススメです。

興味がある方は是非読んで勉強してみてください。

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Dr.Koro
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病気や育児に役立つ情報を紹介する小児科医です