子どもの熱が下がらない時の対処法を解説します【いつ受診?冷やすべき?お風呂は?】
子どもが突然、熱を出したら不安ですよね。
原因もわからないし、病院に受診したほうがいいのか迷うと思います。
そこで今回は、子どもの熱が下がらない時に病院を受診するべきタイミング、発熱したときの対処法について解説したいと思います。
その他にも、みなさんがよく疑問に思う
”体は温めるべきか冷やすべきか“
”お風呂は入っていいのか”
”冷却シートは効果あるのか“
などの疑問についても答えていきます。
発熱の定義は
子どもは大人よりも平熱は高く、新生児から学童までは37.5度以上を発熱と定義しています。
なぜ熱が出るのか
体内に病原体が侵入すると、病原体が作り出す外因性の発熱物質と、刺激を受けた免疫細胞が作る内因性発熱物質(サイトカイン)が産生されます。
サイトカインが脳内に達するとプロスタグランジンが産生され、脳にある視床下部の体温中枢を刺激します。
その結果、熱の産生の促進と熱の放散が抑制され体温が上昇し発熱します。
小児科医が病院を受診するべきと判断するポイント
- 生後3か月未満の発熱
- 呼吸状態が悪い
- 脱水所見が強い
- 発熱が5日以上続く場合
- 明らかに活気不良である場合
発熱で受診された際は上の5つがないか考えます。
それぞれの理由について述べていきます。
生後3か月未満の発熱
生後3か月未満の発熱は要注意です。
その理由としては重症細菌感染症が原因のことがあるからです。
重症細菌感染症とは細菌性髄膜炎、尿路感染症、菌血症などで、その頻度は7.0〜12.8%という報告もあります。
新生児~乳児早期は症状が出にくいこともあり元気だからといって油断は禁物です。
急速な経過で症状が悪化することもありますのですぐに病院を受診しましょう。
呼吸状態が悪い
風邪でも咳や鼻水は出ますがその症状が強い場合は肺炎や気管支炎になっている可能性があります。
苦しくて横になれなかったり、浅く速い呼吸をしているようなら呼吸が苦しいサインです。
発熱+随伴症状が強い
子どもの大部分の熱の原因はウイルス感染症です。
ただ、中には見過ごせない病気が隠れていることもあります。
その診断の手助けとして熱以外の症状に注目します。下記の疾患は頻度が高く注意が必要です。
<急性虫垂炎> 心窩部から右下腹部に限局してくる強い腹痛が特徴です。緊急で手術になることもあり注意が必要です。
<化膿性関節炎> 股関節を痛がり歩こうとしなかったりする所見がでてきます。症状が強い場合は病院を受診しましょう。
脱水所見が強い
発熱があれば経口摂取量は通常よりも落ちてきます。
熱の期間が長かったり水分が全く取れなくなってくると脱水の危険性があります。
不感蒸泄といって何もしない状態でも水分は失われますが熱があるとその程度は強くなります。
唇が渇いてきたり、皮膚の乾燥、眼窩がくぼんできたときは脱水のサインです。
点滴加療が必要となることもありますので受診したほうがいいでしょう。
発熱が5日以上続く場合
風邪であれば3-4日で熱が下がってくることが多いです(1週間程度続くこともありますが)。
5日以上の発熱というのは小児科医の間ではある程度の目安となっており、何か別の原因があるかもしれませんので検査をすすめます。
明らかに活気不良である場合
これはなかなか判断が難しいですが、普段の発熱の時とくらべて明らかに様子がおかしかったりする場合は何か原因が隠れていることがまれにあります。
迷う場合は受診するほうが無難でしょう。
熱があるとき体は温めるべきか、それとも冷やした方が良いのか
発熱の初期で悪寒がしている時は、体温が急上昇しているのに手足は冷たいことが多いです。
この時は震えや悪寒を止める程度に温めてあげるのがよいでしょう。
その後、熱が上がり切ると手足も含め全身が熱くなります。
そのような時に温めてしまうと発汗により水分が失われてしまい循環血液量の減少をきたす可能性があります。
循環血液量が減り発汗ができなくなると、体温を逃す術を失ってしまい結果的にさらなる高体温を招いてしまう危険性があります。
ですので、そのような時は適度に体を冷やしてあげるべきでしょう。
熱があるときの室温や衣服はどうすればいいのか
室温は夏季であれば27〜28度くらいが適温です。
冷気は直接当たらないようにしましょう。
衣服については寒がっている時は寒さが和らぐ程度に着させるか、寝具をかけてあげましょう。
体温が上がり切って手足が温かい時は、衣服は普段と同じか1枚少なめに着せましょう。
熱がある時はお風呂に入らない方が良いのか
よく「熱があったらお風呂には入らないようにしましょう」と言われたことがある人は多いと思います。
たしかに熱いお風呂は体温を上げてしまうのと入浴で体力を消耗してしまうためおすすめできません。
ですが、体温と同程度のぬるま湯のシャワー又はお風呂であれば問題ありません。
汗を流すことでさっぱりでき、寝つきも良くなることに加え気化熱で少し体温が下がることも期待できます。
冷却シートは使うべきか
冷却シートによる解熱効果はほとんどないとされています。
本人が冷却シートを使うことにより気分が良くなるのであれば使ってあげてもよいですが、嫌がるのであれば無理に使わなくて結構です。
また、乳児ではシートがずれて口を塞いで窒息してしまうリスクがあるので注意してください。
まとめ
例え熱があっても、前述した注意すべき症状がないときは特別な対応は不要です。
熱があると、子どもも親も辛いですが焦らずにしっかりと対応してあげましょう。
- 大田千晴.“生後3か月未満児の発熱”.小児救急治療ガイドライン.市川光太郎編.改訂第3版,東京,診断と治療社, 2015,212-8.
- 川上一恵: 言い伝えを科学する 熱が出たらたくさん着せて温める, チャイルドヘルス Vol, 21 No.10