コラム

楽天のPCR検査キットがダメだと思う理由について

楽天のPCR検査キットがダメだと思う理由について

2020年4月20日より楽天から新型コロナウイルスのPCR検査キットが法人向けに販売されました。

楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下 「楽天」)は、遺伝子検査キットのパイオニアであるジェネシスヘルスケア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:佐藤バラン 伊里、以下 「ジェネシスヘルスケア」)と連携し、同社が医療法人社団創世会(住所:東京都渋谷区)の協力を受けて開発した国立感染症研究所のPCR検査法を厳守した解析手法による「新型コロナウィルスPCR検査キット」を、本日4月20日(月)より東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の法人向けに提供開始します。

https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2020/0420_01.html

この検査キットは新型コロナウイルスに特徴的なRNA配列が含まれているかどうかの判定をするものでそのRNA配列があったからといって=陽性となるわけではないのです。

つまり検査をしたからといって完全に新型コロナウイルスの感染を否定できるものではないし確定できる検査ではないのです。

ただそれは従来のPCR検査でも同じです。

現在医療機関で行われているPCR検査の感度は30-70%程度と言われています。

Ai T, et al. Correlation of Chest CT and RT-PCR Testing in Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in China: A Report of 1014 Cases. Radiology. 2020 Feb 26:200642. doi: 10.1148/radiol.2020200642.

これは検体の採取状況や検査の過程で変わってくる数値ですが結局この程度の感度なので陽性と出ればよいですが出ないからと言って感染は否定できないのです。

つまり楽天の検査キットであろうが従来のPCR検査であろうが、検査をして陰性だから絶対に安静だとは言い切れず、本当は陽性の患者、つまり偽陰性の患者も一定数いるわけでその方たちが陰性であることをいいことに行動範囲を広げて感染を拡大させてしまうことにつながりかねません。

ですので検査は軽症、あるいは限りなく無症状の方は行うべきものではなく偽陰性の可能性があることを念頭に置いて十分な感染対策に徹するべきなのです。

また楽天の公式ホームページをみてみると検査の結果が出るまでの日数として土日祝日を除いて最短3日間とあります。

法人が指定する場所に設置する専用回収ボックスに入れていただきます。ジェネシスヘルスケアによる回収後、結果通知までにかかる日数は最短即日から約3日以内(土日祝除く)となります。なお、防漏性容器・梱包ならびに専用回収ボックスによる検査試料の集荷・回収については、関係団体のアドバイスを伺いながら実施しています。

https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2020/0420_01.html

新型コロナウイルスに限った話ではありませんが、日に日に症状が顕著になることが多いようです。

その間、検査結果待つより、自分が感染している可能性を考慮して他社への接触をしないことのほうがよっぽど大事です。

インフルエンザウイルスの迅速キットのように感度が高く検査時間も短いものであれば、感染を防ぐうえでも役に立ちますが最短3日間、かつ陽性、陰性の判断もつかない検査ではやる意義はありません。

また症状がある場合はこの検査キットは使用できないそうです。

これでは症状がないときに検査をしてくださいということでしょうか。

検査前確率が低いところでの検査ははっきり言って資源の無駄です。

それともう一つの大きな問題は検査手技です。

鼻咽頭からの採取になりますがこれはトレーニングを受けている医師だからできますが、医療関係者ではない一般の方がいきなりやってもまず正しく検体は取れないでしょう。

愛護的にやったつもりでも鼻の奥に綿棒を入れられるのはかなりの痛みを伴うので躊躇してしまったり、実際はかなり鼻腔の奥まで挿入する必要があるので一発でできるとは到底思えません。

このような検査で一時的な安心は得られる方もいるのかもしれませんが、感染拡大の要因にもなりえますし今後も常に新型コロナウイルスの感染のリスクはあります。

常日頃から感染予防の意識を持ち、怪しいと思ったら自分が感染源になってしまわないように自宅での安静を徹底していくべきだと思います。

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Dr.Koro
Dr.Koro
小児科専門医で小児内分泌が専門で、大学病院等を経て現在都内の病院で働いています。病気や育児に役立つ情報を紹介しています。