バファリンやルルの子どもの誤飲には注意|アセトアミノフェン中毒について
解熱剤や痛み止めとしてよく使われるバファリンやルルですが、子どもの誤飲には注意が必要です。
大量に服用してしまった場合、同薬剤の主成分であるアセトアミノフェンによる中毒の危険性があります。
今回はそんなアセトアミノフェン中毒について症状や中毒量、解毒の方法(拮抗薬)などについて解説していきます。
アセトアミノフェン中毒について
アセトアミノフェンの血中濃度のピークは4時間、半減期は12時間です。
過量摂取で主な問題は遅発型の肝障害とされています。
初期には嘔気・嘔吐を呈し、1-2日経過して肝酵素、PT、ビリルビンが上昇し始め、重症の場合は肝壊死へと進行し死亡することもあります。
肝障害が予想される摂取量は小児では150mg/kg以上とされており、250mg/kgで50%、300mg/kg以上で100%の確率で肝障害が発生するとされています。
肝機能障害の機序について
①アセトアミノフェンは硫酸、グルクロン酸抱合により代謝・無毒化されますが、服用量が多くなると、肝毒性のあるN-アセチルパラベンゾキノンイミン(NAPQI)が生成されます。
②NAPQIはグルタチオンにより抱合され代謝されますが、アセトアミノフェンの大量の摂取で硫酸・グルクロン酸抱合の処理能力を超え、NAPQIがさらに増加します。
③その結果グルタチオンが消費、枯渇されNAPQIが抱合されなくなるとタンパクに共有結合して肝細胞壊死を引き起こしてしまいます。
治療について
基本的治療と特異的治療に分けられます。
基本的治療
催吐・胃洗浄:アセトアミノフェンを内服してから1時間以内であれば検討されます。
活性炭:アセトアミノフェン内服後4時間以内であれば投与推奨されます。
特異的治療
N-アセチルシステインの投与です。
国内ではあゆみ製薬会社のアセチルシステイン内用液17.6%が販売されており、血中濃度のピークは30分、半減期は2.6時間です。
特徴として、特異なにおいがある、味は塩からく、わずかに苦く、えぐみがある(添付文書より)とされておりジュースと混ぜて投与することもあります。
国内では承認されていませんが、海外では注射製剤も使用されています。
初回量:5%希釈液で140mg/kgを経口投与
維持量:5%希釈液で70mg/kgを4時間毎に計17回(延べ72時間)経口投与
N-アセチルシステインの作用機序について
①グルタチオンの前駆物質であるN-アセチルシステインを投与することによりグルタチオンが増加
②肝毒性のあるNAPQIのグルタチオン抱合を促進させ、NAPQIを代謝・無毒化し肝障害の発現を防ぐ
Rumack-Matthewのノモグラム
4時間値と24時間値を結んだラインが投与推奨ラインとされています。
まとめ
アセトアミノフェンは身近な薬剤です。
子どもの誤飲には十分に注意しましょう。
日本中毒情報センター URL: https://www.j-poison-ic.jp