赤ちゃんが夜通し寝るのはいつから?|乳幼児の睡眠の特徴、夜泣きの原因と対策について解説します
外来や健診などで保護者の方から「夜に何度も起きて寝てくれない」、「夜泣きがひどい」、「あやしても泣き止まない」などの相談を多く受けます。
そこで今回は赤ちゃんの睡眠の特徴、夜泣きの原因と対策について解説していきます。
乳幼児の睡眠について
新生児期から乳児期はレム睡眠の割合が多く、レム睡眠とノンレム睡眠の出現するサイクルが短いとされています。
そのため眠りが浅く目を覚ましやすいのですが、成長に伴い概日(1日の朝と夜のリズムのこと)リズムが整い睡眠のリズムや時間は変化していきます。
生後1か月頃
睡眠時間は16~18時間で2~3時間おきに目を覚ますことが多くこま切れです。
昼夜の区別はありません。
生後2か月~3か月頃
睡眠時間は14~15時間で、3か月頃からこま 切れではありますが睡眠と覚醒の時間が長くなります。
夜に長く眠る傾向が出現し、徐々に昼夜の区別がついていきます。
生後4か月~6か月頃
睡眠時間は13~14時間で日中に覚醒し夜間に6時間近く寝るようになります。
5か月目に入ると睡眠・覚醒のリズムが24時間になり社会生活のリズムと一致するようになります。
生後7か月~1歳頃
睡眠時間は11~13時間です。
9か月あたりから夜にしっかり眠るようになります。
それに伴い、この時期には日中に身体を動かして遊ぶこともできるようになります。
昼寝の影響について
昼寝が夜の睡眠にどのような影響を及ぼすのかについての報告が日本から出ています。
1歳半の児50名で昼寝は1時間から3時間ほどであり(平均で1.9時間)、昼寝の終了時間は15:00過ぎが多かった。
昼寝の時間が長いほど、また昼寝の終了時間が遅いほど夜の睡眠の寝つきが遅く、夜の睡眠時間が短かった。
Nakagawa M, Ohta H, Nagaoki Y, et al:Daytime nap controls toddlers’ nighttime sleep. Sci Rep 6:27246, 2016
実際に外来で夜起きてしまう子どもの相談を受けますが、話を聞くと昼寝の時間を取りすぎている印象のある方が多いです。
夜の睡眠を考えると、やはり昼寝は長くしすぎず適度な時間に切り上げるのが良さそうです。
夜泣きについて
夜泣きの特徴
夜泣きは生後半年から1年頃にあり、これといった原因もなく毎晩のように決まって泣き出す現象とされます。
夜泣きの特徴として、夜泣きの始まる時期は4か月~2歳までがほとんどで、6か月頃が最多とされます。
夜泣きの原因
夜泣きの原因は明確には解明されていませんが、この時期の児は睡眠が不安定であり覚醒しやすいこと、大脳辺縁系と前頭葉のバランスが未発達のため覚醒したときに情緒のコントロールができないことがあり、それらに環境による影響が関わっていると考えられています。
夜泣きの対策
1 夜泣きについての知識をもつ
夜泣きは睡眠のリズムや脳の発達に伴い軽快し消失していきます。
夜泣きに悩まされるのはわずかな期間と割り切ることが大切で、夜泣きそのものが赤ちゃんの健康に悪い影響を与える心配はありません。
2 睡眠の環境について
決まった時間に眠るという睡眠の習慣を身につけることが大事です。
夜遅くに児を起こして遊んだり入浴させたりすることは避け、寝室の環境を整えて温度は夏は25°C前後、冬は20°C~25°Cに設定しましょう。
また暗くなるとメラトニンが分泌され概日リズムが整いますので寝室は暗くします。
3 日中の生活について
昼寝がいつもより長い、遊びすぎた、食事の時間がいつもと違うなど「今日はいつもと違う」ことが大きいと、夜泣きの原因になります。
規則正しい生活を心がけてください。
4 入眠儀式を行う
寝る前に入眠儀式としていつも決まった段取りをすることで夜に覚醒することが減るとされています。
例としては、授乳をする、抱っこでゆらゆらと揺する、子守唄や静かな音楽を流す、絵本を読み聞かせる、トントンする、マッサージをするらお気に入りのおもちゃや寝具を使う、などです。
5 夜泣きがあったときのケア
夜泣きを鎮めるためには、児を抱きしめる、静かに抱っこして揺らす、添い寝をする、マッサージや体を撫でるなどが効果的だとされています。
まとめ
今回は睡眠と夜泣きについてでした。
時期によって睡眠や夜泣きの大変さも変わってくると思いますが、それぞれの特徴を知って心に余裕を持って対処できると良いと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
西巻 滋: 特集 Well Babyのための乳幼児健診 睡眠・泣き. 小児内科 Vol. 50, 963-966, 2018
Nakagawa M, Ohta H, Nagaoki Y, et al:Daytime nap controls toddlers’ nighttime sleep. Sci Rep 6:27246, 2016