【小児科医が教える】ケイツーシロップの味や飲ませ方、吐いたときの対処法

ケイツーシロップについて詳しく解説します

今回は生まれてきた赤ちゃんが初めて飲むおくすりでもある、ケイツーシロップについて赤ちゃんに必要な理由、飲ませ方、吐いてしまった時の対応など皆さんが疑問に思う点について詳しく解説していきます。

ケイツーシロップとは

1mL中にメナテトレノン2mgを含有する黄色澄明のシロップ剤です。

ビタミンKは11種類存在しており、ケイツーシロップはそのうちのビタミンK2にあたります。

色は黄色澄明で、オレンジ様のにおいを有するシロップ剤で味はとても甘いです。

そのため赤ちゃんも無理なく飲むことができます。

ビタミンk2の作用機序について

ビタミンK2は、血液凝固因子の蛋白合成過程で、グルタミン酸残基が生理活性を有するγ-カルボキシグルタミン酸に変換する際のカルボキシル化反応に関与します。

すなわち、血を固めるのに必要な凝固因子の肝での合成を促進して、生体の止血機構を活性化、生理的に止血作用を発現するということです。

なぜケイツーシロップを飲ませる必要があるのか

赤ちゃんで、特に母乳栄養児はビタミンKが不足しやすいとされています。

理由としては

①ビタミンKは脂溶性のため胎盤移行性が悪くもともとの蓄積量が少ないこと

腸内細菌叢が未熟で、母乳栄養児の主要腸内細菌であるBifidobacteriumがビタミンKを産生しないこと

③ビタミンKの吸収率が低いこと

母乳におけるビタミンK含有率が少ないことが挙げられます。

以前はビタミンKを補充するため哺乳確立後(生後1日)、生後5日(退院時)、生後1ヶ月の3回法で投与していました。

ですが、乳児ビタミンK欠乏性出血症による頭蓋内出血発症例の報告が後を絶たないため、2011年の「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対する改訂ガイドライン(修正版)」でビタミンK製剤を週1回、生後3か月まで投与する方法が提唱されました。

ケイツーシロップの飲ませ方は

スティック包装から直接服用させると誤嚥や口唇が傷付くおそれがあるため、スティック包装から哺乳瓶やスプーン等に移して服用させます。

哺乳瓶の乳首に入れて吸わせても大丈夫です。

また、このようなスポイトがあると、とても飲ませやすいので用意しておくといいでしょう。

ケイツーシロップに限らず、今後お薬を子どもに飲ませるときにスポイトがあると、とても便利です。

ひとつ用意しておくと安心でしょう。

ケイツーシロップを吐いてしまったときは

一般的に飲んでから30分以上経っていれば、ほとんど吸収しているはずですので飲み直さなくて大丈夫です。

内服直後に嘔吐してしまった場合や判断に迷う場合は処方された病院に確認しておきましょう。

ケイツーシロップに限らず、哺乳直後は溢乳や嘔吐をしてしまうことがあるので、なるべく哺乳前に飲ませるようにしましょう。

まとめ

今回はケイツーシロップについて生理的機序や作用、飲ませ方についてまとめました。

みなさんも参考にしてみてください。

参考文献

新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版), 日本小児科学会

荒木俊介, 白幡聡新:新生児乳児ビタミンK欠乏性出血症予防対策の現況 ~福岡県での調査を中心として, 日本産婦人科・新生児血液学会誌 27(2): 105-112, 2018.

田中清ほか. ビタミンの基礎と臨床-ビタミンKの臨床.Modern Physician 2007; 27: 1273-5.

横田俊平, 小児の薬の選び方・使い方 改定4版, 南山堂(2015)

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