RSウイルス感染症とは|喘息との関係やシナジスについて解説
今回は毎年子どもの間で流行がみられるRSウイルス感染症についてです。
RSウイルスと喘息との関連やシナジスについても解説します。
RSウイルス感染症の症状の特徴とは
「RSウイルス」というウイルスが気道(空気の通り道)に感染して咳、鼻水、発熱という症状を引き起こします。
非常に感染力が強く、生後1歳までに半数の子どもが、2~3歳までにはほぼ全ての子どもが感染します。
普通の風邪と違い、咳、鼻水、熱などの症状が出現してから徐々に悪くなるのが特徴で発症4~5日で症状のピークを迎えます。
大人の場合は感染しても症状は軽いことがほとんどですが、乳幼児など小さい子は細気管支炎や肺炎など重症化しやすく注意が必要です。
流行時期について
以前は寒い時期によく流行っていたウイルスですが、ここ最近は季節を問わずに流行がみられます。
潜伏期間や感染期間について
潜伏期間は4~6日で、感染期間は症状出現から3~8日程度です。
検査について
検査は各メーカーからRSウイルス迅速抗原キットが出ており鼻粘膜、鼻汁を調べて判定します。
結果は数分~10分程度で分かります。
治療について
治療は対処療法となり残念ながら特効薬はありません。
基本的には去痰薬(痰、鼻水を出しやすくする薬)、鼻水、痰の吸引が中心となります。
RSウイルス感染を予防する方法は?
RSウイルスには発症を予防するためのワクチンはありません。
しかしRSウイルスに特異的抗体を直接注射することにより発症を抑えたり症状の重篤化を防ぐことができます。
これはシナジス(パリビズマブ)という注射薬で早産児やダウン症候群、先天性心疾患のあるRSウイルスに罹患すると重症化のリスクの高い子どもだけが接種することができます。
投与は月に1回で筋肉注射になります。
RSウイルスに感染すると喘息になるリスクが上がるのか?
RSウイルスに感染することによりアレルギーの関与する通常の気管支喘息(アトピー型)の発症リスクが上がるのかについては結論は出ていません。
しかし、乳幼児がRSウイルス感染、特に細気管支炎に罹患した場合にその後、長期にわたって喘鳴を繰り返すことがあります。
これは反復性喘鳴(RAD: reactive airway disease)と呼ばれていて、RSウイルスに罹患すると下気道に強い炎症が生じることにより気道の粘膜にダメージが与えられます。
そのダメージを受けた気道粘膜は感染が落ち着くと修復(リモデリング)されますが、その過程で気道が狭くなったり気道過敏性が亢進してしまうことがあります。
そのため、後にウイルス感染を起こした際に喘鳴を繰り返すことになってしまうのです。
まとめ
RSウイルス感染症ですが、鼻づまり、発熱のため普段よりもミルクが飲めない、離乳食が食べれないことが多いかと思います。
対処療法をしっかりと行って症状の改善に努めましょう。
参照:永井和重. RSウイルス感染症. 24(788)チャイルドヘルス VoL.13 No11. 診断と治療社, 2010