子どもがけいれんしたときの対処法と原因、治療について解説します
今回は熱性けいれんを経験した際にあせらず対応できるように、原因や対処法などについてくわしく解説します。
熱性けいれんとは
熱性けいれんは通常は生後6カ月~5 歳の乳幼児において発熱に伴って起こる発作です。
そのうち、頭蓋内感染症や明らかな発作の原因がみられないものとされます。
欧米では人口の2~4%に熱性けいれんがみられますが日本では8%前後と頻度が高いのが特徴です。
熱性けいれんの特徴的な症状は
発熱に加えて全身の強直(力が入る)、けいれん、顔面蒼白、口から泡を吹く、眼球上転(白目)などの症状がみられます。
熱性けいれんの原因について
原因には脳の未熟性、誘因となる発熱、遺伝的素因が関わっていると考えられています。
初発の患者において熱性けいれんが再発するリスクは30~40%であるとされています。
けいれんがおきたときの対処法
まずはけいれんがおきたら衣服を緩めて横にしてあげてください。
吐物で窒息しないようにするためです。
その際に口に手を入れたりものを挟まないでください。
噛まれたり窒息の原因になることがあります。
通常は2-3分でおさまりますが5分以上続く場合は救急車を呼ぶようにしましょう。
熱性けいれんの治療について
大部分の人は発作は5~10分以内に自然におさまるので薬物治療は必要としません。
ただし来院時に5分以上のけいれん発作が続いている場合や、意識障害が続いていて、熱性けいれんが原因なのかはっきりしない場合は抗けいれん薬の投与を行う必要があります。
予防方法について
予防としては発熱時にダイアップという座薬を使用します。
ただし熱性けいれんの再発率は30%前後ですので大部分の方は再発予防の薬剤投与は必要ありません。
発熱時のダイアップの予防投与を最も考慮すべき患者は遷延性(15分以上)の発作 を起こした患者さんです(けいれんが自然に止まる可能性が低いため)。
また熱性けいれんの再発を予測する因子としては以下のものがあります。
- 両親いずれかの熱性けいれんの家族歴
- 1歳未満での発症
- 短時間の発熱~発作間隔(1 時間以内)
- 発作時の体温が39℃以下
これらのいずれかの因子を有する場合、再発の確率は2倍以上となるとされます。
そのため、これらの予測因子を有し熱性けいれんが繰り返しみられる患者ではダイアップの予防投与が考慮されます。
解熱剤は使っても大丈夫?
発熱時に解熱剤を投与してもよいのでしょうか。
これについてはいくつかの論文がありますが、解熱剤を使用した群と使用しない群では熱性けいれん再発率に有意差は見られないという結果が出ています。
個人的には発熱による辛さを和らげてあげる目的で解熱剤は積極的に使用してよいかと思います。
まとめ
熱性けいれんは予後良好な疾患です。
まずは落ち着いて様子を観察してください。
5分以内におさまって普段と変わりない様子であれば緊急で受診の必要はありません。
焦らず対処するようにしましょう。
参考:
・熱性けいれん診療ガイドライン策定委員会 (編):熱性けいれん診療ガイドライン2015,診断と治療社,2015.
・Rosenbloom E, Finkelstein Y, Adams-Webber T, et a1. : Do antipyretics prevent the recur- rence of febrile seizures in children?A systema- tic review of randomized controlled trials and meta-analysis. Eur J Paediatr Neurol 2013; 17: 585-588.