ヒトメタニューモウイルスについて詳しく解説します
今回は子どもの発熱の原因で意外と多い、ヒトメタニューモウイルス感染症について解説します。
ヒトメタニューモウイルス感染症とは
ヒトメタニューモウイルス(human metapneumo virus:HMPV)は2001年にオランダのOsterhausらの研究グループにより発見されました。
ウイルスは主に鼻腔・咽頭粘膜で増殖しますが乳幼児では、気管・細気管支、肺胞で増殖しやすい傾向があるといわれています。
感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、手などで触れることによる接触感染です。
5歳までにほぼ100%が初感染を起こすといわれておりRSウイルス感染症より罹患年齢がやや高いのが特徴です。
国内では冬季~春季を中心に流行しますが、年によって流行時期のピークは異なります。
ヒトメタニューモウイルス感染症の症状について
ヒトメタニューモウイルス感染症の臨床症状は発熱、鼻汁、咳が中心です。
小児や高齢者では気管支炎や肺炎を起こすこともあります。
検査について
迅速診断キットがあり10分程度で診断がつきます。
他に呼吸の状態や熱の期間などから、採血やレントゲン撮影を行うこともあります。
潜伏期間について
潜伏期問は4~6日程度です。
7~14日程度、ウイルスの排泄期間があるとされていますが特に出席停止期間などは定められていません。
熱が下がって咳や鼻水も落ち着けば登園、登校は可能です。
治療について
一般的には抗ウイルス薬や有効なワクチンがなく、手洗いなどによる予防が大事になります。
治療は鼻汁に対して去痰剤、吸引を、脱水がある場合は輸液など対症療法が主体となります。
実際に入院した子を治療していると実感するのですが、分泌物がたくさん増えてくる病気ですので気道の浄化、つまり吸引が非常に大切になってきます。
自宅でも吸引機があれば重症化や症状を改善させることができますので準備しておくとよいでしょう。
個人的にはメルシーポットが使いやすさ、手入れのしやすさからおすすめです。
基本的には対処療法が中心になりますが、高熱が持続していたり血液検査で炎症反応高値などの所見から細菌感染の合併を疑う場合は抗菌薬の投与を行います。
まとめ
ヒトメタニューモウイルス感染症はウイルス感染ですので特効薬はありません。
そのため普段の予防がとても大事になってきます。
普段から消毒用のアルコールを持ち歩いておくのもいいかもしれませんね。
ヒトメタニューモウイルスだけではなく普段から感染には十分に注意するようにしましょう。
- 鈴木英太郎:ヒトメタニューモウイルス感染症.豊原清臣,中尾弘,松本壽通,他:開業医の外来小児科学,改訂6版,pp441-443,2013
- 菊田英明:ヒトメタニューモウイルス.日本小児感染症学会(編):小児感染症マニュアル2017,東京医学社,東京,pp334‒339,2017