毛虫に刺されたようなかゆいブツブツがでたらジアノッティ症候群かもしれません
春先に多い毛虫皮膚炎ですが、それと似た症状の出る病気「ジアノッティ症候群」について今回は原因や治療法について解説していきます。
ジアノッティ症候群とは
Gianottiは1955年に、皮疹、リンパ節腫脹、肝腫大を症状とした原因不明の疾患を報告しました。
その後、HB抗原陽性例またはHB抗原陰性ながら類似の臨床症状を呈した例が判明し、陽性例をジアノッティ病、陰性例をジアノッティ症候群と分類しました。
原因となるウイルスについて
HB抗原陰性のジアノッティ症候群の場合、サイトメガロイルス、EBウイルスはじめ、様々なウイルスが見出されており現在ではジアノッティ病もHBウイルスによるジアノッティ症候群として扱われています。
他にCox-16、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルスなどの報告があります。
ジアノッティ症候群の好発年齢
ジアノッティ症候群は1-2歳の幼児期にみられることが多いとされています。
症状について
手背・前腕外側・下腿など四肢末端から始まり、上行性に大腿、上腕体幹へと拡大するのが特徴です。
皮疹は点状ないし米粒大の紅色小丘疹、紅斑ですが、小水庖や紫斑が混在することもあります。
色素沈着を伴う場合もありますが、1~2週間で自然消退し、HBウイルス感染が原因の場合、右上腹部に腫大した肝臓を触知します。
HBウイルス以外が原因のときは感冒症状などの軽度の前駆症状、発疹とほぼ同時期に発熱、頸部・腋窩・鼠径部リンパ節を触知することもあり、サイトメガロウイルスやEBウイルスによる場合は肝障害を呈することもあります。
治療
治療は対処療法になります。
痒みが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服を行います。
まとめ
今回はジアノッティ症候群についてでした。
春先に多い毛虫皮膚炎と間違えることもありますので、判断に迷ったら小児科や皮膚科を受診しましょう。
Gianotti F: G ltal Dermatol 98:678-697, 1955
Brandt O, et aL: JAm Acad Dermatol 54: 136-145, 2006
日野治子: 日本臨牀別冊感染症症候群(第2版)下:536- 542, 2013